最近は、リユースショップやフリマアプリ、ネットショップなどで、気軽に中古着物を購入して楽しむ方が増えてきました。
以前は、
「人が着た着物はちょっと抵抗がある」
「前の持ち主の想いや、不幸まで受け継いでしまいそう」
など、中古の着物に対して少し抵抗を感じる方もいらっしゃいました。
もちろん、こうした感じ方は人それぞれですが、最近ではそうしたイメージも少しずつ薄れ、「中古だから」ではなく、一枚の着物として気に入ったものを楽しむ方が増えているように感じます。
新品ではなかなか出会えない昔ならではの色柄や、今では作られていない着物に出会えることも、中古着物ならではの魅力です。
一方で、中古着物を購入するときには、価格や柄だけでは分からない注意点もあります。
「安く買えたけれど、サイズが合わなかった」
「届いてみたらカビ臭かった」
「1回着ただけで、生地が裂けた」
といったこともあります。
そこで今回は、呉服屋の目線から、中古着物を買うときに確認しておきたい7つのポイントをご紹介します。
① サイズは「裄」を一番に確認する
中古着物を購入するとき、まず確認してほしいのがサイズです。
身丈・身巾・裄など確認したい寸法はいくつかありますが、その中でも特に気をつけたいのが**「裄(ゆき)」**です。
身丈は多少短くても着付けで調整できる場合がありますし、身巾にもある程度の許容範囲があります。
しかし、裄は短いと着付けでごまかしがきかない場所です。
「短かったら、あとから裄を出せばいい」と思われるかもしれませんが、必ず出せるとは限りません。
裄は肩巾と袖巾を合わせた長さで、どこまで長くできるかは、もともとの反物の幅や縫い込みに残っている生地の量によって決まります。
そのため、中古着物を購入するときは、できればご自身の裄を把握したうえで、商品の寸法を確認しておくことをおすすめします。
② シミ・カビは「今の状態」だけで考えない
中古着物で必ず確認してほしいのが、シミやカビです。
特に注意したいのは、シミやカビは進行することがあるという点です。
「少しくらいだから大丈夫」と思ってそのままにしていると、時間が経つにつれて変色が進んだり、カビが広がったりすることがあります。
また、カビが発生している着物をほかの着物と同じ場所で保管すると、保管環境によってはほかの着物にもカビが広がってしまうことがあります。
中古着物を購入したら、すぐにほかの着物と一緒にタンスへしまうのではなく、一度状態を確認しておくことをおすすめします。
③ 表だけでなく、裏側・衿・袖口・裾も確認する
中古着物を見るとき、どうしても柄や表側の状態に目がいきます。
しかし、汚れが出やすい場所はそれだけではありません。
特に確認しておきたいのが、
衿・袖口・裾・上前・胴裏などです。
表から見るときれいでも、衿や袖口に着用汚れが残っていたり、胴裏に黄変やシミが出ていたりすることがあります。
実店舗で購入する場合は、できれば広げて裏側まで確認してみてください。
ネットショップやフリマアプリなどで購入する場合も、表側の写真だけではなく、裏側や衿、袖口などの写真があるかを確認することをおすすめします。
気になる部分があれば、購入前に追加の写真をお願いしてみるのも一つの方法です。
④ カビ臭・保管臭は意外と重要
中古着物を購入するときに、意外と見落としやすいのが**「におい」**です。
見た目にはとてもきれいなのに、実際に手元に届いてみると、
「なんとなくカビ臭い」
「長期間しまっていたようなにおいがする」
ということがあります。
写真では、においまでは分かりません。
また、においの原因によっては、単純な丸洗いだけでは十分に取れない場合もあります。
特にネットで購入するときは、商品説明に「におい」「保管臭」「カビ臭」などについて記載があるかも確認してみてください。
気になる場合は、購入前に販売者へ確認しておくと安心です。
⑤ 見た目がきれいでも、生地が弱っていることがある
中古着物は、シミや汚れだけでなく、生地そのものの状態も大切です。
古い着物の場合、見た目にはきれいでも、長年の保管や経年変化によって生地が弱っていることがあります。
また、生地を作る際などに使用された糊が経年変化し、触ったときにぬめっとしたような感触が出ているものもあります。
こうした状態は、写真だけではなかなか判断できません。
特に注意したいのが、購入後に寸法直しや仕立て直しを考えている場合です。
生地が弱っていると、縫い目をほどいたときに生地が裂けてしまい、お直しが難しくなることもあります。
「見た目がきれい=生地の状態も良い」とは限らないということは、覚えておいていただきたいポイントです。
⑥ 「いくらで買えるか」より「いくらで着られるか」
中古着物は、新品と比べて非常に安い価格で見つかることがあります。
ただし、購入価格だけで判断するのはおすすめしません。
たとえば5,000円で気に入った着物を購入できても、
裄直しが必要。
シミ抜きが必要。
カビのお手入れが必要。
さらに身巾や身丈も合わない。
となれば、購入後にも費用がかかります。
直す箇所が多ければ、部分的なお直しを重ねるより、一度洗い張りをしてマイサイズに仕立て直した方がよい場合もあります。
中古着物を選ぶときは、
「いくらで買えるか」ではなく、「実際に着られる状態にするまで、いくらかかるか」
まで考えておくことが大切です。
購入価格が少し高くても、そのまま着られる状態の良い着物の方が、結果的に安く済むこともあります。
⑦ 証紙は「ある・ない」だけで判断しない
中古着物を探していると、
「証紙付き」
「○○紬の証紙があります」
といった商品を見かけることがあります。
もちろん、証紙は着物を判断するうえで参考になるものです。
ただし、中古着物の場合は少し注意が必要です。
中古市場では、付属している証紙が本当にその着物のものなのか、確認が難しいケースもあります。
また、一口に「証紙」といっても、すべてが同じ意味を持つわけではありません。
産地や組合など、何を証明している証紙なのかによって、その意味や価値も変わります。
そのため、
「証紙があるから価値が高い」
「証紙がないから価値がない」
と単純に判断するのはおすすめしません。
証紙はあくまで参考材料のひとつ。
生地や染め・織り、状態、寸法などと合わせて総合的に見ることが大切です。
中古着物は「安いか」より「自分が着られるか」
中古着物には、新品とはまた違った楽しさがあります。
現在では作られていない色柄に出会えたり、思いがけない一枚が見つかったりするのも、中古着物の魅力です。
だからこそ、中古着物だからやめた方がいい、ということではありません。
ただ、価格や見た目だけで購入してしまうと、あとから思わぬ費用がかかったり、せっかく購入したのに着られなかったりすることがあります。
中古着物を購入するときは、
サイズ(特に裄)・シミやカビ・裏側や衿、袖口、裾・におい・生地の状態・着られるまでにかかる費用・証紙
を確認してみてください。
そして、サイズが少し合わないからといって、すぐに諦める必要もありません。
着物は状態や縫い込みによって、裄・身巾・身丈などを直せる場合があります。
福岡・呉服の横尾では、他店で購入された中古着物や、お母さま・お祖母さまから譲り受けた着物のお直し、お手入れのご相談も承っています。
「この着物、着られますか?」
というご相談だけでも大丈夫です。
実際の着物を確認しながら、必要なお手入れやお直しをご案内いたします。
