久しぶりにタンスから着物を出したとき、
「なんだかカビ臭い」
「昔のタンスのようなにおいがする」
「しょうのうのにおいが強い」
と感じたことはありませんか?
お母さまやお祖母さまから譲り受けた着物や、中古で購入した着物では、見た目はきれいでも、独特のにおいが残っていることがあります。
また、長期間保管された着物を触ると、敏感な方は手がピリピリしたり、かゆみを感じたりすることもあります。
そして意外と気をつけたいのが、着物のにおいは、着ている本人だけの問題ではないこと。
自分では慣れて気にならなくても、カビ臭や強い保管臭・防虫剤のにおいは、周りの方が気づくこともあります。
では、陰干しや丸洗いで取れるのでしょうか?
今回は、着物の気になるにおいの原因と対処法について解説します。
「古い着物のにおい」=カビとは限らない
古い着物のにおいには、大きく分けて、
・カビによるにおい
・長期間しまっていたことによる保管臭
・しょうのうなどの防虫剤のにおい
などがあります。
また、これらが混ざっていることもあります。
軽い保管臭や防虫剤のにおいであれば、風を通すことで徐々に弱くなる場合があります。
一方、カビが原因の場合は、においが弱くなってもカビそのものがなくなったとは限りません。
まずは何が原因なのか、着物の状態を確認することが大切です。
見た目がきれいでもカビていることがある
白や黒っぽいカビが出ていれば分かりやすいのですが、見た目にはそれほど変化がなくても、カビ特有のにおいがすることがあります。
確認するときは、表だけでなく、衿・袖口・裾・胴裏・八掛など裏側まで見てみましょう。
また、長期間保管された着物には、ホコリやカビ、ダニの死骸やフンなどが付着している可能性もあります。
敏感な方の場合、触ったときに手がピリピリしたり、かゆみを感じたりすることもあります。
強い刺激を感じる場合は、無理に触り続けないようにしてください。
カビ臭い着物は、ほかの着物と分けておく
カビが疑われる着物は、そのままほかの着物と一緒にタンスへ戻さない方が安心です。
湿度などの条件がそろえば、カビが広がり、周りの着物にも影響する可能性があります。
同じ場所に保管していた着物や、たとう紙、タンスの中も一度確認してみましょう。
陰干しでにおいは取れる?
軽い保管臭やしょうのうなどの防虫剤のにおいであれば、風通しのよい場所で陰干しすることで、徐々に軽減することがあります。
ただし、カビの場合は別です。
陰干し=カビが取れる、ではありません。
一時的ににおいが弱くなっても、カビが残っている可能性があります。
また、正絹は直射日光によってヤケや変色を起こすことがあるため、陰干しする場合は直射日光を避けましょう。
丸洗いをすればカビ臭は取れる?
「臭いから、とりあえず丸洗い」
と思われる方も多いのですが、丸洗いですべてのカビやにおいが取れるわけではありません。
状態によっては、通常の丸洗いではなく、
脱臭加工・カビの抗菌加工・洗い張り
などが必要になることもあります。
においの原因やカビの状態を確認してから、お手入れ方法を決めることが大切です。
消臭スプレーや、自分でカビをこするのは避ける
正絹の着物に市販の消臭スプレーを直接かけるのはおすすめしません。
輪ジミや変色の原因になる可能性があります。
また、白っぽいカビを見つけても、自分で強くこすったり、払い落としたりするのは避けてください。
生地を傷めるだけでなく、表面だけきれいになってもカビが残っていることがあります。
さらに、カビをこすったり払ったりすることで、カビの胞子が周囲に広がる可能性もあります。
カビを放置すると「変色」することも
カビで怖いのは、においだけではありません。
長期間放置すると、生地が変色してしまうことがあります。
変色まで進むと、カビを落としただけでは元の色に戻らず、変色した部分を周囲の色に合わせる**「色補正」**が必要になる場合もあります。
さらに、脱臭加工・カビの抗菌加工・洗い張りなどが必要になれば、その分費用もかかります。
だからこそ、
「今後この着物を着るのか」
「思い入れがあって残したいのか」
「どこまで費用をかけるのか」
まで考えて、お手入れするかどうかを決めることも大切です。
カビや強いにおいは、できるだけ早めに相談を
カビは、時間が経つほど広がったり、変色したりする可能性があります。
状態が進んでからでは、必要な処置も増え、費用が高くなることがあります。
そのため、「ちょっとカビ臭いかも」と気づいた段階で、できるだけ早めに状態を確認してもらうのがおすすめです。
特に結婚式やお茶席など、着る予定が決まっている着物は早めに確認しておきましょう。
福岡・呉服の横尾では、他店で購入された着物や、お母さま・お祖母さまから譲り受けた着物のお手入れについてもご相談いただけます。
「これってカビ?」
「このにおいは取れる?」
「いくらくらいかかる?」
という段階でも大丈夫です。
実際の状態を確認し、今後着るのか、どこまで費用をかけるのかも含めて、必要なお手入れ方法をご案内いたします。
