「着物や帯にガード加工って、した方がいいの?」
着物を購入したり仕立てたりするとき、迷われる方も多いと思います。
水や汚れを弾いてくれるなら良さそう。
でも、
「本当に必要?」
「暑くならない?」
「風合いは変わらない?」
「仕立てた後からでもできる?」
など、気になることもありますよね。
結論からいうと、ガード加工にはメリットもあれば、知っておきたいデメリットもあります。
今回は、**着物・帯・長襦袢のガード加工はした方がいいのか?**を、メリット・デメリットに分けて呉服屋が解説します。
そもそも着物のガード加工とは?
ガード加工とは、生地に撥水・撥油性を持たせ、水分や油分を含んだ汚れを付きにくくする加工です。
例えば、
- 突然の雨
- 飲み物
- 食べこぼし
- 泥はね
などへの対策になります。
ここで覚えておきたいのが、
ガード加工=防水加工ではない
ということです。
水を完全に通さなくするのではなく、水滴などを弾きやすくする加工=撥水加工です。
そのため、ガード加工をしていれば絶対に汚れない、濡れないというわけではありません。
メリット① 水や油を弾きやすくなる
ガード加工の一番分かりやすいメリットです。
着物を着て出かけると、突然雨が降ってきたり、食事中に飲み物や料理をこぼしてしまったりすることがあります。
ガード加工をしておくことで、水や油を弾きやすくなり、生地の中まで染み込むリスクを軽減できます。
特に食事に着物を着て行く機会が多い方には、メリットを感じやすい加工です。
メリット② 汚れが付きにくくなる
着物に付くのは水だけではありません。
食べ物や泥など、さまざまな汚れがあります。
ガード加工をすることで、何も加工していない状態と比べて汚れが繊維の中へ入り込みにくくなります。
汚れを完全に防ぐことはできませんが、大切な着物を汚れから守るための予防策のひとつになります。
メリット③ 雨の日の安心感が違う
正絹の着物を着るときに気になるのが雨です。
正絹は水分によって縮みや輪ジミなどが起こることがあります。
ガード加工は完全防水ではありませんが、水を弾きやすくするため、突然の雨に対する安心感につながります。
「雨が降りそうだから着物はやめておこう」
と着る機会が減ってしまう方にとっても、ガード加工をするメリットはあるでしょう。
メリット④ 着物だけでなく、帯・長襦袢にも加工できる
ガード加工というと着物をイメージされる方が多いですが、帯や長襦袢にも施すことができます。
帯は身体の前面にあるため、食事中に飲み物や料理が飛んでしまうことがあります。
特に淡い色の帯は、小さなシミでも目立ちやすいものです。
また、長襦袢にもガード加工を施すことができます。
着物だけではなく、帯や長襦袢も含めて、着用頻度や使い方に応じて加工するかどうかを考えるとよいでしょう。
仕立て上がった着物にも後からガード加工できる?
できます。
すでに仕立て上がっている着物にも、後からガード加工を施すことができます。
そのため、
「仕立てるときにガード加工をしなかった」
「譲り受けた着物にガード加工をしたい」
という場合でも、加工を検討できます。
ただし、反物の状態で加工する場合と比べて、仕立て上がった着物への後加工は料金が少し割高になることがあります。
また、すでにシミや汚れが付いている場合には、そのままガード加工をするのではなく、先にお手入れが必要になることもあります。
これから仕立てる着物でガード加工を検討しているのであれば、仕立て前の反物の状態で加工しておく方が費用を抑えやすいでしょう。
もちろん、すでに仕立て上がっているからといって「もう遅い」ということではありません。
お手持ちの着物でも、状態を確認したうえで後からガード加工することができます。
デメリット① 加工料金がかかる
当然ですが、ガード加工には費用がかかります。
着物・帯・長襦袢を何枚も持っている場合、すべてに加工するとそれなりの費用になります。
だからこそ、
「高価な着物だから加工する」
ではなく、
「どのくらい着るのか」
で考えてみるのもひとつです。
よく着る着物、食事に着て行く着物、お気に入りの着物などを優先して加工する方法もあります。
デメリット② すべての汚れを防げるわけではない
ここは非常に大切です。
ガード加工をしたから、もう着物は汚れない。
これは間違いです。
ガード加工は水分や油分などを弾きやすくする加工ですが、
- 汗
- 皮脂
- 衿汚れ
- 袖口の汚れ
など、すべての汚れを防いでくれるわけではありません。
また、水分を弾いていても、長時間そのままにしておけば染み込む可能性があります。
そのため、
ガード加工=お手入れ不要
ではありません。
加工をしていても、着用後の状態を確認し、必要に応じてお手入れすることが大切です。
デメリット③ 効果は永久ではない
ガード加工は、一度施工すれば永久に同じ効果が続くものではありません。
着用による摩擦やお手入れなどによって、撥水効果は徐々に変化していきます。
また、加工方法によって耐久性にも違いがあります。
昔ガード加工をした着物の場合は、現在どの程度水を弾く状態なのか確認してもらうのもよいでしょう。
デメリット④ 着物によっては注意が必要
すべての着物に同じようにガード加工が適しているとは限りません。
特に、
藍染め・泥染め・顔料を使用したものなど、染色や加工方法に特徴のある着物
については、加工との相性を確認した方がよい場合があります。
産地物や作家物など、特殊な染色・加工が施されている着物については、自己判断せず、購入店や専門店へ相談してから加工することをおすすめします。
デメリット⑤ 人によっては暑く感じることがある
ガード加工について、
「加工した着物の方が暑く感じる」
という方もいらっしゃいます。
ガード加工は防水加工とは違い、生地を完全に密閉してしまうものではありません。
ただし、生地に撥水・撥油性を持たせる加工をするため、加工していない状態と比べて、汗や湿気の抜け方に違いを感じる可能性があります。
そのため、人によっては体感として暑く感じたり、蒸れを感じたりすることがあります。
「汗や湿気が抜けにくくなり、内側にこもるように感じる」という方もいます。
ただし、
「ガード加工をすると汗を完全に閉じ込める」
「必ず通気性が悪くなる」
とまでは言い切れません。
加工方法や生地、季節、着用環境、そして本人の体感によっても違いがあります。
特に暑がりの方や、夏物・単衣などで涼しさを重視したい場合は、この点も考えて加工するかどうかを決めるとよいでしょう。
結局、ガード加工はした方がいい?
当店では、よく着る正絹の着物や帯には、ガード加工を検討する価値があると考えています。
特に、
- 食事に着て行くことが多い
- 雨の日にも着物を着る
- 淡い色の着物や帯
- お気に入りで長く着たい
- 汚れを気にしすぎず着物を楽しみたい
という方にはメリットを感じやすいでしょう。
一方で、ほとんど着用しないものや、暑さ・風合いを特に重視する場合まで、必ず加工しなければならないわけではありません。
ガード加工は、
「高価な着物だからするもの」ではなく、「その着物をどう着るのか」で考えるもの。
メリットとデメリットの両方を知ったうえで判断することが大切です。
まとめ|ガード加工のメリット・デメリット
ガード加工のメリットは、
・水や油を弾きやすくなる
・汚れが付きにくくなる
・突然の雨にも安心感がある
・帯や長襦袢にも加工できる
・仕立て上がった着物にも後から加工できる
ことです。
一方、デメリット・注意点として、
・加工料金がかかる
・すべての汚れを防げるわけではない
・効果は永久ではない
・着物によっては加工前の確認が必要
・人によっては暑さや蒸れを感じることがある
・仕立て上がり後の加工は少し割高になることがある
という点があります。
ガード加工は、着物を絶対に汚さなくする魔法の加工ではありません。
それでも、雨や食事などを必要以上に心配せず、着物を楽しむための選択肢のひとつになります。
加工するかどうか迷ったら、「この着物をどのくらい着るか」「どんな場所へ着て行くか」で考えてみる。
それがガード加工を選ぶひとつの基準になると思います。
福岡・呉服の横尾ではガード加工・着物のお手入れも承ります
福岡・呉服の横尾では、着物・帯・長襦袢のガード加工をはじめ、丸洗い、汗抜き、しみ抜きなどのお手入れも承っております。
「この着物はガード加工した方がいい?」
「帯や長襦袢にも必要?」
「仕立て上がっているけれど、今からでもできる?」
「昔加工した着物だけど、まだ効果はある?」
など、分からないことがございましたらお気軽にご相談ください。
着物や帯の状態、着用頻度などを確認しながらご案内いたします。
